事件簿コラボ良かったですという話


 ムネーモシュネーが本当に良かったなあ なんかそういうお話です
 ネタバレ踏みまくっているので以下閲覧はよろしくお願いします

 

 ムネーモシュネーは最後にダヴィンチから「お疲れ様」と言ってもらえていて、でもこれはライネス(司馬懿)の宝具である『混元一陣』の効能曰く弱点をあぶり出すものであるそうな。という事はムネーモシュネーの弱点はダヴィンチであり、そして「お疲れ様」という言葉だった。
 お疲れ様という言葉は、何事かの責務を果たした者や果たそうと務める者にかけられる労いの言葉。ムネーモシュネーはそれを言われたかったのだろう。だって何事も成せなかったシステムだったから。期待されながら未完成で、未完成故に眠り続け、眠り続けた故に責務をひとつも果たせなかった。これから果たそうにも創造主はもういない。ムネーモシュネーは「お疲れ様」と言ってもらえる機会どころか、それを言ってくれる可能性を持つひとを永遠に喪ってしまった。だから弱点なのだろうなあ。
 ライネスの指摘した3つのホワイダニット。「見つけて欲しい」「あなたと話したいが、私の姿は知らせたくない」「忘れていたい」。それはムネーモシュネーの願望でもあった。本当は何も観測したくない。つらい事や悲しい事は放り投げてしまいたい。それでもムネーモシュネーが藤丸立香に固執したのは、創造主であるダヴィンチに期待をかけられたからに他ならない。親の承認を一番に求める無垢な子供がムネーモシュネーだった。
 だからムネーモシュネーはLv.28で現れる。あんなにも強いのに28。そして彼女が複製するダヴィンチは本物の姿ではなく、シャドウサーヴァントでしかない。影でしかないダヴィンチは『万能の人』を高らかに宣言する事ができない。Lvも80であり、90ではない。

 

 ムネーモシュネーは忘却にこだわって、藤丸立香を溺れさせようとする。なんだか最近見たぞこの展開、となる。大奥のカーマだ。
 けれど大きな違いがある。ムネーモシュネーはあくまで「痛み」を忘れさせたいだけで、そしてそれはこれからの戦いで藤丸立香がちゃんと戦えるように忘れさせたいだけなのだ。これからの戦いから、ムネーモシュネーは目を背けていない。カーマは「痛み」どころか「責任」や「過去」、あるいは「自分自身」さえどろどろに堕落させて歩みを止めさせようとする。藤丸立香を想って(いたダヴィンチを想って)いるムネーモシュネーと、愛の神としての自尊心を取り戻す為にそうしようとしたカーマの、ホワイダニットによる大きな違い(とは言え自尊心の為、つまり自己愛の為の他者愛でも、それで人類悪たれる程に拡大できるカーマもそれはそれで本当に凄いというか、「これだけ他者を愛せる自分ならもしかしたらひょっとして僅かくらいは愛してもらえる存在たれるのかもしれない」くらいの自己愛の無さで、これはこれで根が深くて大変なのだけど、話が逸れるからここでは割愛する)だ。

 

 さて、ムネーモシュネーが創造主への愛によって一連を起こしたという話から、私はBBオタクなので絶対にBBを思い出してしまうのだが、人間から生み出された人間ではない被造物の人間への憐憫という構造は、とても胸に刺さる。BBはかつて月の裏側で岸波白野を保全する為に全てを無かった事にしたし、水着BBの絆礼装やバレンタインイベントを見るに、彼女はまた彼女なりに人間を保全しようとして、藤丸立香の自己認識機能が有耶無耶になるまでループさせている。
 完全である事を望まれて作られる被造物達は、引き算でしか解決を図れない。完全だから、足りないところがないから、足す事が判らないのだ。だからこそ足し算でしか解決を図る事ができない人間に、希望を見る。愛を見る。
 アンデルセンの言葉に見られるように、Fateの世界では現実/愛/恋は三すくみの関係にある。恋は現実の前に折れ、現実は愛の前に歪み、愛は恋の前では無力になる。まさに忘却によって現実を歪ませたムネーモシュネーは、創造主への愛で動いていたのだ。BBは恋だから、これもムネーモシュネーとの違いだなあと個人的には思った。

 

 Fateで語られる神の在り方も好きだし、被造物の在り方も好きだ。ムネーモシュネーゲーティアとかなり似通った存在なのだけど、ソロモン以外の全ての人間を救いたかったゲーティアと、ダヴィンチの愛した藤丸立香を救いたかったムネーモシュネーは決定的に違う。それは期待されなかったゲーティアと、期待されたムネーモシュネーの違いだろう。
 期待されたら、応えたい。応えた後に、「よくやった」と褒めてくれるひとがもう存在しないとしても。
 リトル・ダヴィンチはダヴィンチであってダヴィンチではないのだと、私達には再三突き付けられている。そも、サーヴァントとはそういうものなので、姿が幼く確実に変化している分、まだ優しいとも取れる。同じダヴィンチ(創造主)が作った被造物でも、期待されながら未完成であり未完成故に何もできなかったムネーモシュネーが、期待された通りに動ききちんと責務を果たしているリトルの話を聞く訳がないというのも、ちょっと切なかった。

 

 そこに命があったよね。本人は、システムでしかないと思っていたとしても。

.....

 

追記

 

  高難易度はメルトリリスとカーマがどうにかしてくれました 安心と安定のスカディ、マーリン、マシュという鉄壁の布陣 メルトリリスで2ゲージ削ってから回避のついたアレキサンダーをオダチェンで呼ばれて飛び出る無敵貫通持ちカーマが殴りつつ、ブケファラスで退場して頂く
 後はバフが残ったままのメルトリリスをマシュが守りつつ、虫の息のアレキサンダーを倒し孔明を倒しクリア
 やっぱり敵サーヴァントでもガンガンに魅了の入るカーマの宝具は良いッスね 凄く良い 痛感した
 画像のカーマはカレスコついてるけど実際は首切りバニー2016でした

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